様々なルート


准看護師からのルート

 准看護師の免許を取得していると、規定専修学校において学ぶことで、正看護師の受験資格が得られます。大きく分けて3つありますのでご紹介します。
1 専門学校:受験資格は高卒で准看護師の免許保持(あるいは中卒+准看資格+実務経験3年以上)で、2年間。定時制は3年間。
2 短期大学:受験資格は高卒、准看免許保持。2年過程。
3衛生看護専攻科:受験資格は高卒、准看免許保持。2年過程。衛生看護科出身でなくても受験可能なものと、5年間一貫教育の最後の2年に当たる専攻科の二つがある。
 あくまでも正看護師の国家試験受験資格が得られるということですので、まずは准看護師を目指している方はご注意ください。特に3は正看護師の最短コースと呼ばれるもので、衛生看護専攻科を5年で卒業し、試験に受かれば、専門学校卒の看護師より1年早く社会に出ることができます。准看護師の社会的背景から、今後はこれらのルートを利用した正看護師資格取得者が多数出てくると思われます。とにかく早く働きたい、まずは准看護師になりたいというに方はおすすめのコースといえます。2の短期大学に関しては、3年過程の正看護師取得コースとはまた異なります。

 准看と正看のちがいで触れたように、同じ看護師免許であっても、その過程により給料に差があったり、職場での待遇が異なったりということはままあるようです。大学出身と看護学校出身の間の差もあると聞きます。どのようなルートであれ、看護師は看護師、その先に能力の明らかな差がなければ、同じ資格の看護師として扱ってもらいたいと思うのは正直な話です。しかし実際には臨床での師長クラスになると、正看護師免許は必須というのが世間一般での常識といわれています。そのため、准看護師の資格のままでは管理職として働くには厳しい条件となってしまうのです。初めは准看でよいと思っていても、仕事を続けていく上でいくつかの壁の存在を知るに当たって、方向性は変わってくることが多いようです。統計によればほとんどの准看護師たちは、ゆくゆくは正看護師の資格を取り直すといわれています。

またずいぶん前から議論されている准看護師資格の廃絶に関しても、いつ議論が再開され、方向性が変わるのかわかりません。今後看護師を目指そうという方には、ストレートに正看護師資格を狙った進路選択を薦められることと思われます。今後の動向に注目が集まるところです。

社会人(一般)からのルート

 社会人からの看護学校入学は、場合によっては非常に厳しいものとなります。社会人枠というものが設けてあり、試験も小論文と面接という学校の場合は、枠自体も小さく試験の負担が少ないため、自然と競争率は高くなるでしょう。そうでない一般受験であれば、高卒の学生に混じって受験することなり、科目は4教科フルコースです。数年あるいは数十年?のブランクとの戦いとなりますのでこれも険しいといわざるを得ません。社会人・転職者のための予備校などもあります。傾向と対策は把握しておいたほうが良いと思われます。

 例えばまったく看護とは方向性の違う仕事をしていたのであっても、社会人としての経験は人との接し方、話術や礼儀のように、高卒の学生には求められないようなことが身についているとも考えられます。このことを生かして、就職面でも優遇されやすい傾向はあるようです。選んだ学校の卒業生の就職先や進学先が、自分の目標に沿うかどうかも、願書を出される前に一度チェックしておくべきです。また、入学後は何かとリーダー的存在を役割として持たせられるのも、社会人学生の特徴です。周囲とのコミュニケーションが取れなかったり、教官が年下だったり、同学年の生徒が悩まないようなところで、様々な悩みを抱えることも多いかと思います。それらもひとつの乗り越えるべき壁と認識して、いざ看護師目指して頑張っていただきたいです。

 子供さんがいらっしゃる方は、家庭と学校生活の両立は容易ではないでしょう。家族の協力が必要であるとともに、かなりの負担をかけてしまうことが予想されます。しっかりと事前の話し合いを行うことをお薦めします。また、いかなる理由であっても学校を休むことは、自分の身に降りかかってきます。特に実習は連続的に設けられているため、たとえ補修実習があっても厳しいと思われます。患者さんの状態も日々変化しています。休んだ分を取り戻そうということは簡単にはいきません。3年間という短い期間だからこそ、一日の重み、一回の講義や実習の重みは他の比ではありません。また、金銭面での問題もあります。すべてにおいて想定外の出来事が起こると、積み上げてきたものが崩れてしまいがちなので、とにかく3年間は我慢の日々であると肝に銘じ、協力してくれる方がいればありがたく力を借りてはどうでしょう。一人で頑張ろうと身体を壊しても大変ですから。社会人のよさ、個性を最大限に活かしつつ、前向きな努力で乗り切って行きましょう。

高校新卒からのルート

 一般的な看護学校の新入生というのは、学校によりますが、高校を卒業したての10代が最も多いです。2学年時に成人式、というイベントを挟むくらい、本当に若い世代です。プライベートでも遊びが一番楽しい時期で、やりたいことも一杯。それなのに周囲の同級生と比べると自由な時間もあまりなく、文句を言いながらも勉学に勤しんでいるほうではないでしょうか。実際、そうでもしなければついていけないという現実的な部分もあるにはありますが。

 高校からのルートでは、まず行きたい看護学校を決めることから始まります。どこでも同じではありません。学校の特色、立地状況や学生数、授業料や受験科目や難易度等、様々な側面から情報収集することが必要です。自分に合うかどうか、迷った時は直接行ってみることをお薦めします。学園祭や一日学校見学など、受験生のための機会も設けてあります。病院の付属機関としての看護学校が多いため、卒業後の就職の状況なども調べるとわかる場合が多いので、入学前にそこもチェックしておいたほうが良いでしょう。いまでこそ少なくなりましたが、「お礼奉公」といって、授業料の減額や免除などの制度の恩恵を受けた場合、付属の病院に決まった年数就職しなければならないということも、流れとしてあると聞きます。就職したい病院は、在学中に選んで間に合うと思いますが、入る前から、出るときの事を考えるのは受験の基本です。

 受験科目は一般的に4教科4科目型で、英・数・国・理(選択)がスタンダードな形式です。加えて面接による人物評価も重要です。特記すべきこととしては、やはり健康診断が重視されるということでしょう。看護師も看護学生も体力が必要だと言えますので、注意しましょう。昨今では学力の着たいレベルが引き上げられ、受験者数を絞って面接という場合が多いようです。他の受験と同様に、一校のみを受けることはあまり進められず、同様のレベルの複数校を選択しておくことが必要です。また、指定校推薦などの有利な制度は、もしあれば志願しない手はありません。情報収集は抜かりなく!

 受験科目の国語に含まれるか、あるいは独立して課せられるかわかりませんが、やはり小論文の形式は年々採用校が増えてきているようです。看護師としての意識的な部分が問われやすく、ピックアップされた時事問題に関して意見を聞かれたりするため、医療に関する予備知識は必要です。また、文章能力も看護師にはなくてはならないものなので、入学すれば学生のときに学ぶだろうから、という後手の姿勢では足元をすくわれるかもしれません。志望校に入学できるように、高校の早い段階から動いて準備しておくことをお薦めします。


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