看護師が活躍できる場所

 看護師の求人はこれまでも、そしてこれからも減ることはなく、就職率はほぼ100%だと囁かれます。また看護師の就職先は、最もスタンダードなのはやはり病院や診療所で働くことですが、実は様々な活躍の場を選ぶことが可能です。介護や福祉の施設、企業の健康管理、海外での活動など、数限りなく活躍の舞台はあります。また、研修・受講などでワンランク上の肩書きをもらうことや、看護師資格をベースに別の資格を取ることで、活躍の場はぐんと広がります。ここではスキルアップの方向として選択されやすいケースをいくつかご紹介します。
 
保健室の先生と呼ばれる「養護教諭」は、今とても需要が増しています。どのような過程で養護教諭の免許を取得したかによって1種・2種・専修という風に分けられます。また、保健師の免許を所有していれば、都道府県の教育委員会への申請のみで養護教諭2種免許が与えられるそうです。その過程により主に教育系と看護系のふたつに分かれ、看護師免許がなくても短大や大学、専門学校や通信教育でも免許は取れます。しかし昨今の学校が抱える大きな問題に立ち向かうための知識や、多岐にわたる職務に対応するには看護系の知識が大いに有効だといえるでしょう。

助産師は看護師免許取得後、助産師免許を取って初めて認められます。現在のところ女性にしかその受験資格は与えられておらず、その業務の特殊性から男性の助産師さんはいません。助産師の資格の魅力は産科で助産行為が行えることや、独立して助産院を開業することも可能な点です。少子化が叫ばれる昨今、日本のお産をとりまく現状は、産科医の不足などを筆頭に多くの問題点を抱えます。その分責任は重いけれど新しい生命の誕生の場に立ち会える素晴らしい職業といえます。

認定看護師・専門看護師なども今後は注目されてくると思います。認定看護師とはある特定の分野に関する知識と技術を持ち、高水準の看護を行う看護師のことをいいます。特定の分野の一例を挙げると、救急看護・がん性疼痛看護・訪問看護・透析看護・手術看護・不妊看護など、今後ますます患者数の増加や注目の集まる項目ばかりです。専門看護師の特定分野の構成は、看護学校で学んだ授業の項目のように成人・老人・小児・母性などという分類で全8項目に分けられます。大きな枠内での幅広い知識や技術、それに研究や教育といった役割も期待されるようです。誰しも看護師として働いていくうちに、興味のある分野と出会い、その知識や技術を高めたいと思うことがあるものです。そんなときにスキルアップとしてチャレンジすることは、ある程度実務経験のある中堅の看護師さんには、大きなターニングポイントとなることでしょう。

一生ものの資格だからと現状に甘んじることなく、自らの道を切り開いていく姿勢こそ、真の看護師さんのあるべき姿だと思います。日々の業務に追われがちで余裕がないと思うこともあるでしょうが、そっと立ち止まり初心に戻って自分の看護観を考えてみると、ずっと先を見ることの大切さに気づくかもしれません。看護資格は変幻自在、なりたい自分になれるはずです。

専門としたい分野は見えてくる

 学生時代には、実習でありとあらゆる分野の看護活動を体験し、学習していきます。実習は、机上での学習とは比べ物にならないほど、その分野についての知識や技術面、雰囲気的なものや診療科の特性等まで学べるチャンスです。後に就職活動を行う際に、このときの経験はとても役に立ちます。もっとも、短期間の詰まったカリキュラムの中での実習ですので、必然的に広く浅くというスタイルとなるのは仕方がないことです。もっと知りたかったという部分もたくさんあると思います。

そんな中でも、患者さんとの思い出が深く心に残る実習内容や、医療の現場を目の当たりにして興味が湧いた診療科もあることでしょう。あんな看護師になりたい、こんな医療がしたい。はじめは漠然として捉えどころのない希望でも、就職活動をする中では明確に心に持っておくことが大切です。

 総合病院などではあらゆる診療科があり、病院側から採用の際に希望を聞かれるケースもあるかと思います。中には希望通りに行かないこともありますが、看護師と患者さんの関係は同じで、ケアや処置の内容に差はあっても看護師に求められる役割は変わりません。また、ローテーションなどで、いずれは別の科に配属されるという可能性もあります。

病院の方針や看護の体制など、基本的な部分は押さえておいたほうが良いでしょう。例えばあなたが「循環器のエキスパートナースになりたい!」という具体的な希望が胸の中にあるのであれば、病院を決めるときに循環器専門病院を選ぶとよいのです。また、オールマイティな看護師を目指すのであれば、より多くの経験を積むためにいろんな科を回ることは自分のプラスになるでしょう。

 配属先によって看護活動の内容や範囲が違うことは理解されていると思います。例えば病棟とオペ室では明らかに看護の内容や役割、患者さんとの接し方、一日のタイムスケジュールや勤務時間に至るまで大きく異なるといえるでしょう。

他にも消化器科と循環器科という診療科そのものの違い、また同じ診療科でも外科と内科に分かれたりします。ただひとつ共通することは、看護師は患者さん一人ひとりに対する看護計画の立案と看護過程の展開をしていくというところです。業務は科により違って当然ですが、「看護の心」は対象が誰でどんな疾患でどのような状態かを問わず、皆に平等に向けられるべきです。そうして看護に取り組むうちに、知識や技術もさらに向上し、やりたいことやなりたい自分、自分の進むべき方向性はおのずと見えてくるものだと思います。目標を持って仕事を行うならば道は開けるし、また良い方向に導いてくれることでしょう。

看護師の自己啓発

 自己啓発、という言葉をご存知でしょうか。自己をより高い段階へ導こうと努力することで、より高い能力、より大きい成功、より充実した人生、より高い人格の獲得を目指すものです。このことは、看護師にとってある意味義務であり、看護師である以上怠ってはならない大切な看護活動といえると思います。何を取り組むかは個人の問題ですが、例えばスキルアップを目指してひとつうえの資格を取ることや、専門の分野を探求して認定・専門看護師を目指すこともそうです。また読書をすることやセミナーに参加することなども、目的がはっきりしていればこういった活動とみなされます。要は自己の向上を意識した何らかのテーマを持ち、そのためのアクションを起こすことだといえます。日々忙しく煩雑な業務をこなしながらも、休日には休み返上で自己啓発活動とは、よほどの高い意識がないとできないことです。

 看護師の仕事は、単調な仕事を同じペースで日々行えるものではありません。同じ疾患でも患者さんによって症状や治療は異なり、同じ患者さんでも日によって状態は違います。ちょっとした状態の変化やサインを見逃さないためには、神経を研ぎ澄ませて患者さんを見る目を養うことが必要です。経験豊富な看護師ほどその感覚は優れているものですが、それは現状に満足せず、更に上を目指す姿勢があってこそ磨かれる素質というものです。看護のスペシャリストという意識を持ち、苦手な分野の克服でも、得意分野の更なる向上でも、日々の援助活動に活かせるスキルや知識を習得する努力は欠かせません。

 色々な自己啓発がある中でも難しいと考えられるのが、精神的な面での自己の向上に関する啓発です。思考法やセルフコントロール、集中力などを身につけるための活動だといわれます。これらは看護の分野とは直接関係ないようであって、深い部分でのつながりが強くあります。このような自己啓発のためのセミナーや活動は、時として看護師や色々な職種を対象に開かれている模様です。

また、コミュニケーション能力は看護にとって必要不可欠で、これを極めようというのは並大抵の努力ではできないことです。「患者-看護師」の関係もさることながら、「人間対人間」の関係を確立することが重要だということは、トラベルビーに代表される人間関係理論によって確立、重視されてきました。看護師として働いていると自分を見つめる機会が多く、おのずとこのような壁に当たるものなのです。それは看護観や理念といった深い部分で大切な、看護師の人としてのあり方が常に問われているからです。看護師は自己啓発を通して常に成長していく必要があるのですね。


次の記事→勉強の仕方、傾向と対策

サイトMENU

Copyright (C) 2007 看護師資格の取得と勉強法. All Rights Reserved.