看護学校の特色

 看護師になるためのスタンダードなコースは、高校を卒業後看護学校に入学し、3年教育を経て国家試験に合格、というものです。今でこそ看護大学も多くなり、大卒の看護師も増えてきましたが、まだまだ看護学校のほうが学生数も多く、主流であるといえます。大学と看護学校の大きな違い、それは時間の使い方にあると思われます。本来看護学校の3年間で履修すべき科目は、4年間かけて学んでちょうど良いとさえいわれます。それを凝縮した形での教育システムとなるため、どうしても詰まったカリキュラムになってしまうのです。時間の余裕を重視して、楽しいキャンパスライフを体験したいと考える方は、大学への入学をお勧めします。

また、看護学校の多くは病院の付属機関として設置されたものが多く、それによる多数の恩恵を受けることができます。まず、多くの場合隣接の病院から臨床で実際に働く医師や看護師が、講師として実際に教鞭を取ってくれます。そのため院内のハード面の情報などが講義に反映されやすく、実習での活用に役立ちます。遠くから出向いてくれる講師に比べ、質問しやすく身近に感じられますね。また学生にとって重要な実習に関しては、ローテーション制で各科をくまなく回ることができますし、不足した項目に関しては他院との連携で実習を受けてもらえます。付属の学校でなければこのような実習の充実はありえないかもしれません。

多くの学校には寮があり、門限や寮則などの厳しい決まりごとはありますが、多数の学生の集まる環境は勉学にとってプラスになることが多いでしょう。ライバル感も適度にありながら、協力体制も望めます。互いに励ましあい、辛いことを乗り越えていった繋がりは、社会人になっても良好な友人関係でいられることでしょう。寮生もそうでなくても、イベントや様々な行事には一致団結する絆も見られます。これは皆が「看護師になること」という最終目標が共通しているからに他ならないと思います。

実習以外の大まかな授業内容は、国試の出題範囲にある分野と、英語や中国語もあります。国際化社会の世の中で外国人患者は割と多く、患者さんとのコミュニケーションをとるためには言語の理解は基本です。やはり英語はかかせないのですが、看護学校では状況英語など、実用的な内容を教わることができます。英語の次に人口が多いとして中国語を取り入れている学校は多いようです。他にも、看護師はパソコンを使えて当然という考え方もあるように、パソコンの基本知識を学ぶ機会も設けてあります。

勉強、勉強の3年間。それでも、卒業して看護師として働いていると、学生時代に培った知識は実用できるものが多く、割りに覚えているものなのです。大変ですが、それなりに楽しく充実した日々を送ることができますよ。

戴帽式について


 「戴帽式」は看護学校の三大イベントのひとつです。三大、と呼ぶのは自分の卒業校の話ですが、戴帽式、国試、謝恩会がメインの3つだったと記憶しています。しかしながら入学する前からこの戴帽式のことを知っていた人は割と多く、中には戴帽式にあこがれて、という人もいました。戴帽式とは、看護師の象徴であるナースキャップを身に着ける儀式のことです。まだ看護師とは認められない学生でも、実習でひとたび院内に踏み入れば医療者の一員として見られます。式は一般的には、学生から学生へと灯していくキャンドルの光だけで会場を照らし、厳かな雰囲気の中で執り行われます。そして代表が看護師を目指す学生としての志を読み上げ、一人ひとり教官からナースキャップを頭につけてもらうのです。イメージとしても美しく、あこがれる気持ちもありましたが、実際に体験してみるととても感動的で、キャップをつけた自分を誇らしく感じたものです。

 ナースキャップの起源は、教会のシスターがかぶっていた帽子にあります。キリスト教と看護の間には深いつながりがあり、「万人を愛せよ」という教えのもとでシスターたちが看護を行っていたのが始まりです。帽子が簡素化されて現在のような形になりました。しかし現在、ナースキャップをユニフォームとして着用している病院は少なく、廃止の動きは広がっているようです。理由は①シンボリックなだけで機能的でない②雑菌の温床となる③医療機器に接触して危険である、などが挙げられます。しかし学校においては歴史を重んじて戴帽式という大きなイベントは存続され、実習では学生だけがキャップをかぶり、本物の看護師さんと間違えられるという紛らわしい事態も起こっています。実際、最近のニュースでは「戴帽式」を「継灯式」と改め、キャンドル灯火のみの儀式となった学校もあるようです。時代は移ろうものですね。

 男性のナースキャップはどうするの?という声も聞かれます。実は、あるんですよ。女性の丸いフォルムとは違い、ちょっと先のとがったサンダーバード?みたいなキャップです。皆戴帽式一回限りで、後はつけないのが普通のようですね。歴史も大事ですが、機能性重視という昨今の考え方にも賛成できます。こうなればキャップ専用殺菌ボックスなどを設置して、衛生管理しつつ存続をしてみては?などと思うのですが、コストや色々な面から考えてもいずれはキャップ自体が過去の代物となってしまうのでしょう。キャップをつけている病院は時代遅れ、というレッテルを貼られやすいようですが、つけて働いていた自分としてはなくなると少しさびしい気もします。


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